研究課題/領域番号 |
18659387
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 雅夫 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (30163570)
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研究分担者 |
水元 一博 九州大学, 大学病院, 講師 (90253418)
田邊 麗子 九州大学, 大学病院, 医員 (70423548)
山本 健 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60274528)
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キーワード | IPMN / 膵癌 / 遺伝子多型 / 相関解析 / 発がん感受性 |
研究概要 |
我が国や先進欧米各国において、膵癌は最も予後不良な癌であり、その解決のためには、膵癌発症関連遺伝子の同定が急務である。膵癌は複数の遺伝要因と環境要因の相互作用によって発症する多因子疾患であり、これまで、国際的にもいくつかの発症関連候補遺伝子が報告されたが、相反する結果も示され、未だ明確な答えが得られていない。その大きな原因の一つは、膵癌の遺伝的異質性にあり、したがって、通常型膵癌をはじめ、他臓器癌を高率に合併する易発癌性を示すIPMN症例に解析対象を特化したゲノム解析が、膵癌発症関連遺伝子解明の端緒となる。平成18年度は、IPMN発症感受性を規定する遺伝要因を探索する目的で、膵がんを含め、種々のがんにおいて発がんの遺伝要因となる可能性が報告されている侯補遺伝子多型について相関検定を実施した。具体的には、TP53、MTHFR、PPARG、IGFBP3、STK15、MBD4、ADPRT、XRCC1、OGG1、APC、MMP2、STCH、ODC、MMP7計14遺伝子の主に遺伝子機能変化を伴うcSNPについて、IPMN患者群215名、健常対照群476名を対象としてTaqMan法によるSNPタイピングを実施し、二群間における対立遺伝子頻度分布、遺伝子型頻度分布の差異をカイ2乗検定により検定した。その結果、対立遺伝子頻度分布、および、遺伝子型頻度分布の何れにおいても、有意差を認める遺伝子多型は同定されなかった。したがって、今回対象とした遺伝子多型は、IPMNの遺伝背景を説明するものではないと考えられた。平成19年度は、候補遺伝子解析を継続するが、優先遺伝子として、STK11、BRCA2、SPINK1、PRSS1を挙げる。これらについては、今回解析した遺伝子群とは異なり、主として遺伝子領域にマーカーSNPを設定し、連鎖不平衡を利用した相関解析を実施する。
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