研究課題/領域番号 |
18659398
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川本 俊輔 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20400244)
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研究分担者 |
田林 晄一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90142942)
本吉 直孝 東北大学, 病院, 医員 (40375093)
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キーワード | 再生医学 / バイオリアクター / 循環器・高血圧 |
研究概要 |
本年度は、昨年試作した通電刺激装置を用いて、生体内での刺激実験を本格的に開始することを目的とした。まず、モックモデルとして鶏肉上でのシュミレーションを行った。4cm×4cm大のゼラチンシートを鶏肉上に縫着し、バイオメタルファイバーにて一方向へ牽引し、反復刺激が可能かどうか検討した。昨年、最適化した条件(通電時間最短0.5秒、電圧最小1.5V、弛緩時間0.5秒)で刺激を加えてみたが、ゼラチンシートと生体組織との癒合が強く、筋膜組織ごと牽引しなければゼラチンシートに動的刺激が加えられないことが判明した。従来の刺激条件では牽引力が足りなくなったため、通電時間や刺激電圧などを最大化して検討した。通電量を増大してゆくと、それに比例してバイオメタルファイバーに強い収縮力(=牽引力)が得られたが、同時に発生する熱により、最終的にファイバーが断裂してしまうか、周囲の組織に熱変性(=熱傷)が起こった。牽引するバイオメタルファイバーの本数を6本から10本と増やしてみたが、過剰な熱の発生がない状態で、有効な反復刺激は得られなかった。生体吸収性素材が吸収され組織に置換される期間(最低でも1ケ月)、組織に熱による過剰な変性を来さずに刺激を続けることは困難と思われた。そこでバイオメタルファイバーを用いず、生体の骨格筋の収縮能を利用した刺激システムの構築の可能性を検討した。生体内の筋肉組織は、非常に少ない電気刺激で化学的な反応を用いて過剰な熱を発することなく大きな収縮を比較的短時間のうちに再現できる組織である。ビーグル犬の背筋もしくは広背筋にゼラチンシートを縫着し、その筋肉をペースメーカーにて刺激することで、筋肉ごとターゲットのゼラチンシートを収縮させるモデルを考案し、試行中である。一例では、肋骨の骨膜にゼラチンシートを縫着し、肋間筋を刺激して肋間のスペースを狭めたり広げたりすることができた。今後、長期観察モデルを作成予定である。
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