研究概要 |
Bone morphogenetic protein(BMP)で誘導される骨芽細胞分化において骨芽細胞分化マスター遺伝子Runx2が誘導されるが、in vivoでBMPは骨発生部位以外にも発現するので、骨特異的にRunx2を誘導する因子がBMPの下流に存在する事が強く疑われる。本研究は転写因子Runx2を直接誘導する分子メカニズムを解明する突破口を開く事を目的とした。 C2C12細胞にBMPを添加したサンプルのmRNAのmicroarray結果から、核内因子としてPitx2遺伝子が同定された。Pitx2のoverexpressionにはアデノウイルス、loss of functionにはshRNAをレンチウイルスに搭載した。Pitx2のノックアウトマウスも入手した。Runx2の発現に注意してPitx2を骨芽細胞系細胞に導入すると、予想に反してRunx2ではなく、その下流のOsterixの発現が有意に抑制された。この生理的意義を確認する為にshRNAを導入するとOsterixの発現が促進した。Pitx2ノックアウト細胞でもOsterixの発現が上昇していた。Pitx2がOsterix遺伝子のプロモーターに結合する事がわかり、骨芽細胞分化において、in vivoでは近接する筋細胞系の非特異的骨芽細胞転換を抑制する因子として報告した。(Hayashi M,Maeda S(corresponding author), et. al.,J.Biol.Chem.283,565-571,2008)Runx2誘導因子の同定は今後との課題として残った。
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