骨組織の維持・再生に関する研究へ社会的注目が集まるようになって久しい。再生医学研究より組織構成要素である細胞が治療材料となり得る可能性が示されている。しかし、臨床応用のためには移植細胞のコントロール、移植方法の確立といった問題を解決する必要がある。 本研究の目的は骨形成タンパクのひとつであるBone morphogenic protein 4(BMP-4)にファイブロネクチンのコラーゲン結合領域を融合させたキメラタンパクを作製し、コラーゲン複合化合成高分子担体へ結合させることで培養担体の持つ利点を生かしたまま、成長因子の供給も行うことのできるインテリジェント再生足場材料を開発することである。 新規複合化材料の薬物送達システム機能の評価キメラ化BMP-4の機能確認は培養未分化骨髄間質細胞へのキメラタンパクの添加および複合化シートへの細胞播種実験により、骨分化マーカー遺伝子の発現、ALP活性の定量にて行う。さらにこの複合化シートを単独または未分化骨髄問質細胞(国立成育医療センターにて承認された、分離培養した細胞表面マーカーgene arrayを用いたプロファイリングを行い細胞の有する性格を詳細に検討されたもの)を播種した状態で免疫不全マウスへ移植し、骨への分化、骨再生方法を検討する。また各種条件下での足場の形態を確立する。加えて組織学的評価を通じて生体内における骨形成能と組織に対する毒性の有無を確認する。最終的には骨髄間質細胞を開発した骨再生足場材料に播種し、疾患モデルマウスへ移植することで、疾患の治療に有効であるか評価を行う。
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