シート上のキメラタンパク局在は生体外にて免疫組織学的に評価するとともに培養液中へのタンパク放出程度をファイブロネクチンの継時的なELISA法により推定した。キメラ化BMP-4の機能確認は培養未分化骨髄間質細胞へのキメラタンパクの添加および複合化シートへの細胞播種実験により、骨分化マーカー遺伝子の発現、ALP活性の定量にて行った。さらにこの複合化シートを単独または未分化骨髄間質細胞を播種した状態で免疫不全マウス(NOD/SCID/IL-2RγKO)へ移植し、骨への分化、骨再生方法を検討し、組織学的評価を通じて生体内における骨形成能と組織に対する毒性の有無を確認した。 最終年度である本年は骨髄間質細胞を骨再生足場材料に播種し、疾患モデルマウスへ移植することで、疾患の治療に有効であるか評価を行った。外傷、腫瘍切除後、奇形等の遺伝的疾患による区域または、部分骨欠損に対するモデルマウスを作成し、移植細胞の骨形成、宿主の骨再生能を検討した。具体的には、大腿骨を区域切除、ピンによる創内固定後、周囲に細胞を播種した足場を適応した。閉経後、骨粗鬆症、リウマチ、偽関節症等の自己の骨再生能の低下した状態を想定したモデルマウスを作成した。具体的には、子宮摘出し低カルシウム餌で長期継続飼育されたマウスに対し部分骨欠損のモデルマウスと同様に骨形成・再生能を検討した。同種他家移植モデルの検討方法として、梅澤により分離培養されたマウス骨髄由来間葉系幹細胞(KUSA-A1細胞)を他系統マウスへ移植し免疫抑制剤の応用下での骨再生能また免疫寛容についても検討した。
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