研究課題
骨芽細胞を誘導する物質の同定本研究の目的の一つは、in vitroの培養細胞系から骨芽細胞の運動に重要な役割を演じるタンパク質をproteomicsの手法で分離精製し解析する事である。我々はマウス培養骨芽細胞株(MC3T3-E1)の無血清培養上清が同骨芽細胞株自身に対して強力なchemoattractantとして作用することを見出しており、平成18年度の本研究において、骨芽細胞を誘導する物質の探索を、AKTA液体クロマトグラフィーシステムに接続した3種類のアフィニティカラムとゲルクロマトグラフィーを用いて分離精製を行い、最終的に当センター内プロテオミクスグループのLC/MS/MSによりprotein sequenceを行い、IGF-1(insulin-like growth factor-I)が最も強いchemotaxis活性を有することを同定した。IGF-1は既に報告のあるPDGF(platelet-derived growth factor)と同等、あるいはそれ以上のchemotaxis活性を有すると同時に、骨芽細胞の運動方向性に与える影響がPDGFと異なる可能性が示唆され、現在特異的阻害薬、抗体やsiRNAを用いた抑制実験等により機能解析を進めている。又秋田大学医学部の病理病態学佐々木教授が作製された、PI(phosphatidyl inositol)を可視化できるマウスを譲渡していただき、動物体内におけるIGFの骨芽細胞運動方向性(polarity)に与える影響に関して詳細な解析を行う予定である。〔研究協力者〕大阪大学・医学部・医学研究科大学院生 中崎学人
すべて 2006
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Experimental Cell Research 312
ページ: 3927-3938