研究概要 |
1.ミダゾラムの大脳新皮質微小抑制性シナプス後電流頻度とGABA神経終末α7ニコチン受容体に対する作用の解析[山本・福田・岡部]: 生後2-3週齢のラットの脳スライス標本を作成し、大脳皮質体性感覚野V層の錐体細胞にパッチクランプを行い、GABA_A受容体を介する微小抑制性シナプス後電流(mIPSC)を記録して、ミダゾラムの作用をジアゼパム、フルニトラゼパム、ゾルピデムと比較した。すべての薬剤でmIPSC振幅が増大したが、頻度を増加させたのはミダゾラムのみであった。ベンゾジアゼピン受容体阻害剤のフルマゼニールはべての薬剤のmIPSC振幅増大作用を完全に遮断したが、ミダゾラムの頻度増加作用に効果なく、未知の作用経路が示唆された。この新奇作用はII/III, IV, VI層では起こらなかった。介在ニューロン細胞体へのニコチン直接投与反応に対しミダゾラムは効果なく、この作用はV層のGABA神経終末特異的であった。シナプスブートン標本を用いて神経終末に局在するα7ニコチン受容体を蛍光ラベルして膜移行を共焦点顕微鏡のリアルタイム3D法により解析した結果でも、mIPSC頻度を解析した結果でも、ミダゾラムの新奇作用はPKCインヒビターのcalphostin Cとbisindolylmaleimideによって抑制され、PKCアクチベーターのphorbol 12,13-dibutyrateによって促進したことから、PKCの関与が考えられた。 2.ミダゾラムによるα7ニコチン受容体の膜移行を仲介する細胞内情報伝達分子の検討[福田・山本・熊田]: ミダゾラムにより活性化される神経終末のPKCアイソフォームを同定するため、フルマゼニールでポストシナプス作用をブロックした状態でPKCのリン酸化部位認識抗体を用いて脳スライスhomogenateのwestern blottingを行った。その結果、ミダゾラムもフルマゼニールもPKCによるリン酸化を促進した。
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