健常ボランティアの末梢静脈血より末梢血幹細胞を分離した。分離に際しては、問診及び血液検査でボランティアが健常であることを確認してから行った。細胞分離には、当該施設に現有のガンブロ社製血液成分分離装置(COBE Spectra WBC採取システム)を用いた。採取した血管内皮前駆細胞を採取可能なように、CD34陽性細胞である細胞のみを得られるように本装置でのアフェレーシスを設定した。まず、末梢血中単球全体の0.01%を占める血管内皮前駆細胞(EPCs)を採取した。その後、ヒトフィブロネクチン、5%ウシ血清と成長因子を加えた血管内皮細胞用の培養液(EBM-2)を用いて採取した細胞を現有の炭酸ガスインキュベータで培養した。これらにより、継代を8回行った培養EPCsの細胞浮遊液を作製し実験に使用した。培養EPCsの細胞浮遊液に対し、細胞内スーパーオキシド発生薬LY83583(5×10^-7 mol/L)を作用させ72時間培養した。昨年度のLY83583(10^-6 mol/L)検討結果と同様に、大多数が死滅するか、または大多数が生存するという非常に効果が不安定な結果がえられた。そこで、現在、LY83583に代わるスーパーオキシド発生系およびちょうど50%の細胞が死滅する程度のスーパーオキシド自体の投与を考案中である。次いで、対照、LY83583を加えた培養液に、静脈麻酔薬としてプロポフォール(10^-6 mo1/L)、吸入麻酔薬としてセボフルラン(1.0MAC)を加えその酸化ストレスに対する保護作用を検証する予定である。
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