研究課題
本年度はトロフィニンを認識する(接着する)合成ペプチドの中から、マウス精子尾部に存在するダイニンを介して運動能を亢進させる"合成ペプチド"の同定を行った。精子の鞭毛にはダイニンというタンパク質が存在し、鞭毛の運動モーターとして機能する。ダイニンには内腕、外腕があり、内腕にはt-complexの遺伝子産物として同定されたTctex1というタンパク質が存在する。t-complexは精子の運動性に関与し、男性不妊と関係していると考えられている。タスティンは内腕ダイニンのTctex1に結合していることが報告されており、トロフィニンはタスティンとTctex1を通じてダイニンに結合していると思われる。Phage display random peptide library法によって検討した結果、GWRQのシーケンスを持つ合成ペプチドが同定された。さらに、トロフィニンを介したシグナル伝達を検討するために、モノクローナル抗体の代替で使用した合成ペプチドGWRQの検討により、トロフィニンがEGFRの活性を調節している可能性が示唆された。さらに、男性不妊症の精巣生検で採取したパラフィン包埋切片を用い、抗トロフィニンル抗体、抗タスティン抗体、抗ビスティン抗体にて、免疫組織学染色を行い、精子のトロフィニン、タスティン、ビスティンの発現を検討したところ、トロフィニンがヒト精子に発現していることを確認した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Clin Cancer Res 12・8
ページ: 2506-2511
J Urol 175・1
ページ: 90-93