研究課題
本研究課題では、精子に発現している新規着床分子Trophinin(トロフィニン)を介した精子運動能増強効果を再確認するとともに、運動能改善を目的とした新規合成ペプチドの同定とその分子メカニズムを追求する。本年度の研究成果を以下に示した。(1) 健常成人および男性不妊症の精巣生検で採取したパラフィン包埋切片を用い、抗トロフィニンル抗体、抗タスティン抗体、抗ビスティン抗体にて、免疫組織学染色を行い、精子のトロフィニン、タスティン、ビスティンの発現を検討した。(2) ートロフィニン、タスティン、ビスティンともにヒト精子において発現していることを確認した。(3) GWRQ-MAPSペプチドを化学合成してボランティアから提供された精子の運動能を改善するか否かについて検討を行った。(4) ヒト精子をGWRQ-MAPSペプチドでincubateすると、運動能が亢進した。(5) ヒト精子をGWRQ-MAPSペプチドでincubateすると、adenosine triphosphateが減少し、細胞内カルシウム濃度が増加した。(6) GWRQ-MAPSペプチドはヒト精子運動能を亢進させるので、体外授精の効率を向上させ、intracytoplasmic sperm injectionの回避に貢献できる可能性がある。(7) トロフィニンはヒト精子のadenosine triphosphateを制御する機能を持つ可能性が高い。
すべて 2008
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Journal of Urology 179
ページ: 767-771