我々は最近、酸化チタン微粒子表面をポリアクリル酸で化学修飾し、ナノサイズ化した光触媒微粒子の開発に成功した。 本研究では、膀胱上皮内癌や浸潤性及び表面性膀胱癌に随伴する前癌病変の部位診断や治療に応用することを目的として、ナノ光触媒微粒子を膀胱癌の診断などに応用することを試みる。この光触媒ナノ粒子にヘマトポリフィリン誘導体などを結合させたハイブリッド体を作成し、これにより、従来ヘマトポリフィリンを用いる際の欠点であった光過敏性の問題の克服と、光による制御性を持たせることを検討している。 本年度成果として、表面に反応基をもつ酸化チタン・ポリアクリル酸ナノ粒子と各種ヘマトポリフィリン誘導体として5-アミノレブリン酸を用い、結合ハイブリッド微粒子の作成ができた。このハイブリッド粒子は、100nm程度の直径を持つ粒子であり、TiO_2による光触媒活性を示すことがわかった。現在、結合させた5'-アミノレブリン酸のUVA光照射による分解と動物細胞への移行を検討中である。 また、同様に酸化チタン・ポリアクリル酸ナノ粒子の反応基を用いて、他の蛍光物質として5-アミノフルオレッセンを結合させたハイブリッド粒子も作成できた。この分子は約60nmのサイズであった。蛍光顕微鏡下で膀胱癌細胞への結合を調べたところ、24時間で細胞への結合が確認できた。 この蛍光-TiO_2-PAAのデーターをもとに膀胱癌細胞にTiO_2-PAAを投与し、UVA照射を行ったところ、UVA照射で殺細胞効果が認められた。
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