研究課題/領域番号 |
18659479
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
水谷 陽一 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (10243031)
|
研究分担者 |
河内 明宏 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (90240952)
三木 恒治 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (10243239)
牛嶋 壮 京都府立医科大学, 附属病院, 専攻医 (10398373)
|
キーワード | ムスカリン受容体 / ノックアウトマウス / M3 / 排尿障害 / アセチルコリン / ムスカリン / 排尿動熊 / プロスタグランジン |
研究概要 |
膀胱排尿筋収縮の神経伝達の中心であるアセチルコリンを介する経路は、ムスカリンレセプターをその受容体として作用することが知られている。このムスカリンレセプターは全身の多くの臓器に発現しており、そのサブタイプとしてムスカリン1からムスカリン5(M1〜M5)まであることが知られている。これらのうち、膀胱収縮における神経伝達経路の約8〜9割はムスカリン3(M3)を介する経路であることが判明している。そこで今回我々は、M3ノックアウト(M3KO)マウスを用いて一回排尿量および残尿を測定し、その排尿動態を検討した。さらに、そのメカニズムについて検討した。 M3KOおよびその野生型の雌雄の4群を用いて、排尿経時的記録ゲージ内にて飼育し、5〜80週齢の一回排尿量、残尿を計測した。残尿は、6Fr細径超音波プローブを経直腸的に挿入し、経直腸超音波断層法にて膀胱容量を計測することにより算出した。 5〜80週齢での一回排尿量は4群間にて差はなかったが、どの週齢においてもM3KO雄においてのみ残尿を認めた。このように、M3KO雄においては若年より排尿異常を認め、加齢により悪化していくことが観察された。また、M3KO雌にアトロピンやサリチル酸ナトリウムを投与すると、残尿が増加した。 以上の結果から、マウスに対する経直腸超音波断層法による残尿測定は、排尿動態を検索する方法として有用であると考えられた。また、M3KO雄においては、M3をノックアウトすることにより、排尿異常が起こる可能性が示唆された。さらに、M3KO雌では、プロスタグランジンやM2の経路がM3の欠損を代償していると考えられた。
|