研究課題/領域番号 |
18659480
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高野 忠夫 東北大学, 大学病院, 講師 (40282058)
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研究分担者 |
新倉 仁 東北大学, 大学病院, 講師 (80261634)
吉永 浩介 東北大学, 大学病院, 助手 (40343058)
永瀬 智 東北大学, 大学病院, 助手 (00292326)
伊藤 潔 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (70241594)
八重樫 伸生 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00241597)
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キーワード | 薬剤耐性 / 婦人科癌 / Hrs / ATP7B / シスプラチン |
研究概要 |
細胞の小胞輸送機構が重金属のトランスポーター機能と関連すると考え、小胞輸送分子であるHrsを中心に解析を行った。まずシスプラチン耐性の婦人科癌細胞株におけるHrsの発現をRT-PCR、ウエスタン・プロッティング等でスクリーニングした。またHrsに対するsiRNA配列を決定し、レトロウイルスベクターに乗せ変えたsiRNA発現ベクターを作成し、Hrsを発現するシスプラチン耐性癌細胞株に感染させてHrsの発現抑制細胞を作成した。HeLa細胞(子宮頚癌由来)において、Hrsを安定的に発現抑制する株とコントロール細胞株を複数樹立した。それらの細胞でコロニー形成能・免疫不全マウスでの造腫瘍能・転移能を比較したところ、いずれもHrs発現抑制細胞で増殖能や転移能が著明に減弱していた。Hrsの発現抑制により増殖抑制性の分子が蓄積すると考えスクリーニングしたところ、Hrs発現抑制細胞ではE-cadherinが著明に細胞内に蓄積していることを発見した。これに伴いβ-cateninの細胞内局在が変化し、β-cateninシグナルが弱まる事を見出した。Hrsのノックアウトマウスは初期に胎生致死となるので、Hrsの生体内での機能の詳細は不明である。しかしin vitroの実験ではHrsがモノユビキチン化されたタンパク質を認識して小胞輸送し、ライソソームで分解するという機能が明らかになっている。今回Hrsが癌の悪性形質にE-cadherinの輸送と分解を介して関わることが明らかとなったが、来年度はATP7Bの機能解析と同時に、ATP7Bを通して薬剤耐性と小胞輸送の関わりも明らかにする研究計画を策定中である。
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