研究課題/領域番号 |
18659498
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加我 君孝 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80082238)
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研究分担者 |
今川 博 東京大学, 大学院医学系研究科, 技術専門員 (30422281)
関本 荘太郎 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (00010059)
狩野 章太郎 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00334376)
二藤 隆春 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60334372)
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キーワード | 喃語 / ソナグラム / 先天性難聴 / 音声分析 / 言語発達 |
研究概要 |
先天性難聴の診断は、音刺激を与え、他覚的にその反応の有無を調べる方法が用いられている。難聴が発見されると補聴器を装用させ、聴能言語教育が行われる。しかしながら前言期の発声は喃語と呼ばれ、この喃語は言語とは無関係の原始的喃語期と、言語習得が始まると生じる標準的喃語期に分かれる。この2つの喃語は検査に熟練した耳を持たない限り判定は困難である。そのため、他覚的に判定すべくソナグラフでフォルマントの分化やイントネーションの出現を解析することが試みられた。ただし、従来のソナグラフはハンディではなく、音声記録したマテリアルをあとで別の場所で記録紙に描き分析をした。この方法は多忙な外来では非現実的である。そのため、我々はノートパソコンにマイクとアンプをつなぎ、リアルタイムでサウンドスペクトルログラムを記録すると同時に視覚的に判断するシステムを開発した。ソフトウエアはわれわれが独自に開発したものである。喃語の音声の収録は防音室にて行った。マイクは周波数特定のすぐれたものを使用した。アンプは増幅が低音域から高音域まで平坦な特性をもつものを用いた。ノートパソコンはDell社製のものを用いた。 本年は多数例の正常新生児乳児、先天性高度難聴あるいは中程度難聴の新生児・乳幼児の喃語を収録すると同時に分析した。一部知的障害児についても分析を行った。その結果、原始的喃語はフォルマント形成されず、ノイズが全体を覆うことがわかった。難聴が発見され補聴器のフィッティングが成功し始めると、フォルマント分離がはっきりしてくる傾向を認めた。しかしながら本年度の研究では原始的喃語と標準的喃語もソナグラフ上複数に分かれると思われ、さらなるデータの集積と分析により、先天性難聴児の喃語の音声学的特徴を明らかにする計画である
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