【目的】我々はこれまでにCOX-2をプロモーターとした増殖制限型アデノウイルスベクターAdCOX2がCOX-2を高発現する頭頸部扁平上皮癌に対してoncolyticな作用による抗腫瘍効果を示すことをin vitroならびにin vivoで証明した。本年度はCOX-2高発現扁平上皮癌培養細胞株を対象に、COX-2の発現そのものの抑制により腫瘍の増殖や浸潤、転移を抑制することを目指し、COX-2阻害剤であるエトドラクを用いて検討した。更に、新たな増殖制限型アデノウイルスベクターを用いた頭頸部癌遺伝子治療の可能性の検討を開始した。 【方法】 1.COX-2高発現扁平上皮癌培養細胞株を濃度の異なるエトドラクを含んだ培養液を用いて培養し、その増殖抑制効果を検討した。 2.中華人民共和国で開発された増殖制限型アデノウイルスベクターH101を入手し、マウス扁平上皮癌モデルを用いて頭頸部癌に対する抗腫瘍効果の検討を開始した。 【結果】 1.エトドラクは濃度依存性に腫瘍の増殖を抑制することを確認した。 2.共同研究者からH101を入手し、現在ウイルスの調整中である。 【考察】 1.エトドラクによるCOX-2の発現抑制により、腫瘍の増殖を抑制することが確認できた。現在、その機序について検討中である。 2.H101による扁平上皮癌への治療效果をマウスモデルを用いて研究を続けていきたい。
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