研究概要 |
酸素性網膜症動物モデル作成方法の確立とその評価 BL6マウスの母親と新生児を、生後7日目から5日間高濃度酸素分圧(80%)に暴露することで、網膜の無灌流領域を作成できることを確認した。この観察のためにFITCデキストランを心腔内に注射して、網膜を含む全身に循環させ蛍光顕微鏡で観察することで、網膜の血管並びに無灌流領域の形成を観察できる手技を確立した。さらに、高濃度酸素に暴露後、1ないし2週間正常酸素分圧で飼育することにより網膜血管新生が生じること。その後1ヶ月程度正常酸素加で飼育すると、無灌流領域に正常毛細血管様の血管が伸展する場合があることを観察した。 プロテオミクスの手技の確立 ストレプトゾトシンを投与した糖尿病ラット網膜の2,12週における蛋白変化を二次元電気泳動と質量分析計装置を用いたプロテオミクスの手法で網羅的に解析検討した。二次元電気泳動ゲルスポットのうち、量的に優位に変化して、同定できたスポットは11個で、6-phosphofructokinase, creatin kinase(mitochondrial)やglial fibrillary acidic proteinなどであった。これらは糖代謝やリン酸化、神経膠の関連蛋白であり、糖尿病網膜症の発症機序を考える上で有用と思われる結果であった。これらの結果を踏まえて、現在、無灌流領域が作られた酸素性網膜症の網膜でのタンパク質発現の変化を網羅的に解析中であるが、現在のところ変化するタンパク質を同定するにいたっていない。同定に至らない原因を調査中であるが、現在のところ技術的な問題と考えられる。本研究は継続していきたいと考えている。
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