骨髄内好中球の成熟度はLumican knock-outマウスで異常を認めず、炎症刺激で抹消血白血球に占める、好中球の比率がknock-outで有意に多く、かつLumican knock-outでは炎症組織に好中球が浸入しにくいという結果を得た。これはLumican knock-outでも好中球が骨髄内に正常にプールされていて、刺激により血管系に放出されるが、Lumicanが無いと、血管から組織へ移動できないと考えられる。in vitroでLumicanによる好中球接着実験および遊走実験を行った結果、Lumicanを培養ディシュにコートすると好中球接着が多くなり、wild type好中球の遊走についてもLumicanコートがAlbuminコートに比べ有意に増加することがわかった。現在までの結果をもとに論文を執筆中である。Lumicanは好中球の接着に必要であることから好中球膜蛋白中にLumican Receptorを予想しているが、未だ発見には至っていない。スクリーニングの方法を再考し、Lumicanと接着する蛋白の検索を行う予定にしている。また角膜実質において細菌防御に対する好中球の役割を明らかとするため大腸菌、黄色ブドウ球菌による細菌感染モデルや細菌の死菌(pHrodo^<TM> E.coli BioParticlesR ConjugateまたはpHrodo^<TM> S.aureus BioParticlesR Conjugate)を利用したモデルを検討中で、細菌感染におけるLumicanと好中球の関わりを明らかにする予定である。
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