1.網膜障害モデルにおけるAβの網膜細胞死に対する作用の検証 (1)マウスの硝子体内にAβ1-42(0.2nmol/eye)を投与し、その7日後の網膜に組織学的な障害は認められなかった。 (2)N-methyl-D-aspartate(NMDA)硝子体内投与(5nmol/eye)による網膜障害に対してAβ1-42(0.2nmol/eye)の同時投与は明らかな作用を示さなかった。 2.ヒト型βアミロイド前駆体蛋白質(APP)変異遺伝子及びAPPとプレセニリン-1(PS-1)変異遺伝子の両遺伝子を導入した遺伝子改変(Tg)マウス(PS/APP Tgマウス)を用いて網膜におけるAβ40またはAβ42の発現分布、沈着及びその定量を実施し、脳及び網膜における蓄積の関係についての検討 (1)11及び24ヶ月齢のPS/APP Tgマウス網膜内の不溶性Aβ1-40は野生型マウスと比較して約15倍増加していた。同じ個体の脳内の不溶性Aβ1-40もそれぞれ同様に増加した。 (2)APP Tgマウス及びAPP/PSTgマウス網膜においてAβ1-42特異抗体を用いた免疫染色より、脳において認められるようなアミロイド斑は観察されなかったが、網膜神経節細胞の細胞体内にAβ1-42の蓄積が観察された。一方、野生型マウス網膜ではそのような蓄積は観察されなかった。 3.培養網膜神経節細胞(RGC-5)におけるAβによる細胞死の機序についての検討 Aβの活性化ペプチドであるAβ25-35(5-20μM)を添加することにより濃度及び時間依存的に細胞死を惹起し、その細胞死に先行してAPPの過剰発現が観察された。
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