研究概要 |
本研究は,申請者らの研究グループが独自に開発した技術であるsgRNA/tRNaseZ法を用いて,効果的な骨・軟骨組織の形成誘導法を見出すものである。標的GSK-3β mRNAについて,切断予定部位の設計を行い,5'-half-tRNA型のターゲットを選択し,sgRNA発現プラスミドを作成した。この発現プラスミドを,tRNaseZLを過剰発現させた293細胞,tRNaseZLをsiRNAによってノックダウンさせた293細胞もしくはintactの293細胞にリポフェクタミン2000を用いてトランスフェクトした。GSK-3β mRNAノックダウンの評価は,まず細胞を可溶化しGSK-3β抗体を用いたウエスタンブロットを行つた.293細胞のGSK-3βはsgGSKHもしくはsgGSKLの導入によって著しく減少した。これらの結果は,sgRNAとtRNaseZLによつて標的であるGSK-3β mRNAを有効に切断しノックダウンしたと考えられた。このsgGSKHをC2C12細胞もしくはMC3T3-E1細胞に導入し,オステオプロテグリン(OPG)量をELISA法で測定した。培地中のOPG量はコントロールに比べて有意に増加した。これらの結果は,このsgRNAは,培養系で有効な骨形成促進活性を有していることを示すものである。上記の有効性が認められたsgGSKLについて,生体内での骨形成促進効果を調べるため,マウス個体を用いた動物実験による評価を行った。局所投与では骨の厚みの有意な増加が観察された.現在,hydrodynamics gene transferなどの方法を用いて,この2'-O-methylsgGSKL RNAを全身投与し全身の骨量の検討を行っている.全身投与では有意な増加が認められず,投与方法,投与量等の検討が必要であることが明らかになった.
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