研究課題/領域番号 |
18659549
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上崎 善規 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (40116017)
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研究分担者 |
和田 孝一郎 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (90263467)
佐伯 万騎男 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (30273692)
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キーワード | アポトーシス / カルシウム結合タンパク質 / Monad / カスパーゼ / カルシニューリン / 上皮間葉転換 |
研究概要 |
昨年度に同定したカルシウム結合タンパク質のカルシニューリンBと、我々が新規に発見したWD40リピートを持つタンパク質Monadの機能の解明を行った。 これまでカルシニューリンBは酵素活性を持つAサブユニットの制御を担っていると考えられてきたが、単独で、カスパーゼ3前駆体と結合してその活性化を促進し、細胞死を制御していることを明らかにした。つまり培養細胞系において、Bサブユニットの過剰発現、または発現抑制は、名種細胞死を来す刺激に対して、その応答性を変化させた。また、マウス骨髄細胞およびRAW細胞はRANKL刺激により破骨細胞に分化して、骨吸収を促進する。その際このBサブユニットはC末端領域でPDドメインを持つタンパク質、PICK1に結合して、破骨細胞の分化の情報伝達を行い、口腔領域の複雑な骨形成・リモデリングに関与していることを明らかにした。 一方、機能が不明であったMonadは正常組織、特に精巣や卵巣などの増殖が盛んな組織に多く発現していたが、さらに、プロファイリング・アレイによる検討で、乳癌などの腫瘍組織にも多く発現することが明らかとなった。Monadを高発現させた培養細胞では、カルシニューリンと同様、各種細胞死刺激に対して、より強く応答することを明らかにしているが、腫瘍に発現していることは意外であるため、詳細に検討したところ、細胞死とともにMonad高発現腫瘍細胞はその移動能が抑制されていた。つまり、上皮-間葉系転換を抑制する機能があり、腫瘍の転移制御にも関与していることが明らかにした。 これらはカルシニューリンBおよびMonadが複雑な口腔領域の形成過程において、単に細胞の増殖・死のみならず、その性質までも制御していることを示すものと考えられる。
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