研究課題/領域番号 |
18659552
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松尾 龍二 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (30157268)
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研究分担者 |
小橋 基 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (80161967)
美藤 純弘 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (20240872)
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キーワード | 唾液分泌 / 上唾液核 / 視床下部外側野 / 味覚 / 摂食 / グルタミン酸 / バイオセンサー / ラット |
研究概要 |
唾液分泌の神経制御は、脳幹部における反射と上位中枢からの下行性制御に区分して論じられている。本研究では、特に摂食行動に関係の深い上位中枢(視床下部外側野、大脳皮質味覚野と咀嚼野)からの興奮性入力(グルタミン酸作働性)を動物実験により検討する。具体的には唾液分泌の副交感神経中枢である上唾液核細胞に対する上位中枢からの興奮性入力量とそれに伴う唾液分泌動態を分析する。とくに本実験計画では、興奮性入力量をグルタミン酸バイオセンサーを用いて解析する。本年度は、1.グルタミン酸バイオセンサーが適用可能であるかどうかを急性実験により確認した。2.慢性実験と薬物注入実験への適用を検討した。 1.麻酔下動物(Wistar系雄性ラット)にて、口腔領域の味覚刺激によって唾液分泌を誘発した。同時に上唾液核のグルタミン酸変動をグルタミン酸バイオセンサーで観察し、定量的に解析した。その結果、味の質によってグルタミン酸バイオセンサーの変動が異なり、とくに酸味刺激で変動が大きかった。しかしこの変動は唾液核に特有な変動であるかは、確認されていない。今後、他の脳幹部の部位での変動と比較検討する必要がある。 2.摂食行動中のラットにおいて、上唾液核細胞に対する興奮性入力量および唾液分泌との関連を検索するために、種々の性状(固形飼料、粉末飼料、ペースト状飼料など)の食物を摂取させた。その結果、唾液分泌量は、咀嚼筋の活動量(口顎の動き)には比例せず、摂食中枢(視床下部外側野)の興奮状態に比例することが示唆された。すなわち上唾液核の活動は、上位中枢からのグルタミン酸作働性の興奮性入力に比例すると考えられた。 上記の結果を基に、来年度は神経伝達物質およびその拮抗薬を脳内(視床下部外側野)に微増量注入し、上唾液核細胞.に対する興奮性入力量、唾液分泌動態の変調の変化を観察する予定である。
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