研究課題/領域番号 |
18659567
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 治 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (60374948)
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研究分担者 |
高橋 信博 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (60183852)
佐々木 啓一 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (30178644)
島内 英俊 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70187425)
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キーワード | 生体材料 / 義歯床 / 抗菌性 / 表面・界面物性 |
研究概要 |
平成18年度は、アクリル樹脂(PMMA樹脂)の表面改質を行うため、MMA樹脂への添加剤とするリン酸化ポリビニルアルコール(P-PVA)の合成を行った.また、材料表面の解析法について、FTIR-ATR法による検討、さらに、バイオフィルム形成評価方法の検討を行った.P-PVA分散の目的は、PMMA樹脂表面にリン酸基を分散させて表面電荷を調節することにより、バイオフィルム形成促進因子である唾液タンパク質の吸着を抑制することである.P-PVAは、リン酸がポリビニルアルコールの水酸基とエステル体を形成することをねらいとして合成した(勝浦他、日本化学会誌7:1305-1309,1972). P-PVA合成は、正リン酸に五酸化リンを加えた溶液に、無水DMF (N, N-ジメチルホルムアミド)、尿素、トリエチルアミンの順に加え、油浴で加熱した.還流物を除去し、一定温度に達した時点でPVAを加え、数時間反応させた.室温になった時点でエタノールに注ぎ、デカンテーションにて上清を除去して数回洗浄した.その後、加温したイオン交換水を注ぎ、再加熱して溶融させた.合成物はゲル状で完全には溶解せず、乾燥させて固体として回収した.P-PVAのリン酸化あるいは唾液タンパク質の吸着の各状態を測定する準備として、微量有機物測定のためにATRアタッチメントを導入し、検量線用にMMAの測定を実施した.バイオフィルム形成評価方法の確立のため、使用済みデンチャーに付着した細菌の回収および同定を実施した. これらの検討に基づき、平成19年度は、1)P-PVAとMMAの複合材試験片作成、2)複合材に対する唾液タンパク質の吸着特性、3)口腔内細菌の付着特性を解析し、デンチャー基材の材料構成の改質と表面特性を、唾液タンパク質吸着抑制の観点で関連づける.
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