研究課題/領域番号 |
18659585
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松沢 祐介 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (30351620)
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研究分担者 |
東野 史裕 北海道大学, 大学院歯学研究科, 講師 (50301891)
進藤 正信 北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20162802)
大廣 洋一 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (40301915)
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00109456)
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キーワード | ポリリン酸 / タンパク安定化 / FGF / 骨誘導 |
研究概要 |
再生医療は、各種の疾病により失われた臓器・組織・細胞を遺伝子工学・組織工学・細胞工学を利用して再生を図る治療で、高齢者の増加に伴う歯周組織の再生医療への要求はますます強まってくるものと考えられる。ポリリン酸は、原核生物ではエネルギー供与体、リン酸リザーバー、遺伝子発現制御因子、DNA導入時のチャンネルとして働く等の機能が明らかになっている。これに対して、真核細胞・生物では、細胞内や血漿中に存在し、神経細胞ではとくに長鎖のポリリン酸が存在することが明らかであるが、その生物学的機能は不明であった。 今回、ポリリン酸を培地に添加した際、ヒト歯肉線維芽細胞の増殖活性が亢進することを見いだした。FGF(Fibroblast Growth Factor)は線維芽細胞に深く関与している。我々は線維芽細胞培養液中にポリリン酸を加えることでFGF-2半減期は著しく延長し、FGF-2が安定化することをWestern blottingで確認した。RI標識したポリリン酸はFGF-2に結合し、ポリリン酸と結合したFGF-2とFGFレセプターは強固に結合することをBiacoreを用いた実験で確認した。さらに、骨形成にはたらくTGF-βファミリー遺伝子産物の一つであるBMP-2の発現ベクターを導入した線維芽細胞においてBMP-2の発現がポリリン酸処理により亢進することを見出した。このようなタンパクの安定化にポリリン酸が働くことは、細胞内でのタンパク-タンパクの結合や機能の発現にポリリン酸が補助的に働くことを示している。 骨の形成は骨芽細胞によってなされ、その機構には骨形成タンパクの関与があることが既に明らかになっている。我々は、ポリリン酸処理により、骨芽細胞株MC3T3-E1細胞で骨形成タンパクであるOsteocalcin、Osteonectinが誘導されることを明らかにした。
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