研究概要 |
本年度は脊髄への遺伝子導入の条件設定を最適化し、手技として確立した。(Journal of controlled release,117,2007,267-272) マウス(BALB/c雄6〜8週)をペントバルビタール腹腔内麻酔後、L4-5間より27G注射針で髄腔内にプラスミドDNA (pGL3-Control Luciferase reporter vector)とマイクロバブル(診断用超音波造影剤アルブミンバブルOptison^<TM>)の混合液10μlを注入し、直ちに水中で刺入部脊椎に垂直に超音波を照射した。照射条件は、プローブ径6mm、周波数945kHz、強度5W/cm2、DUTY比20%、照射時間1分とした。照射1日、3日および1週間後に剖出脊髄にLuciferinを直接注入し、in vivoリアルタイムイメージング装置を用いた発光解析により発現遺伝子を定量した。また脊髄における導入部位を免疫組織化学的に検討した。 結果は、遺伝子導入後1日目より脊髄にLuciferin発光が確認され、Luciferase発現は1週間以上継続した。また対照群と比較して超音波照射とマイクロバブルを併用することにより高い遺伝子導入効率が得られた。組織化学的には髄膜細胞に限局したタンパク発現が確認された。この方法により非侵襲的に脊髄に遺伝子を導入することができ、臨床応用の可能性が示唆された。 また、次年度へのステップとしてβ-endorphinのプラスミドDNAを作成し、in vitroにおいて培養細胞に遺伝子導入したところ発現が確認できたので、vivoで応用する予定である。
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