研究課題/領域番号 |
18659592
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本田 雅規 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (70361623)
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研究分担者 |
朝比奈 泉 長崎大学, 大学院・医歯薬総合研究科, 教授 (30221039)
渡辺 信和 東京大学, 医科学研究所, 特任助手 (10334278)
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キーワード | 幹細胞 / 歯胚細胞 / ヒト歯髄組織 / ABCG2 / Hoechst33342 / RT-PCR |
研究概要 |
初年度はブタ歯胚組織中の歯髄SP細胞の存在を明らかにすることを試みた。ブタ歯胚細胞の単離は、生後6ヶ月のブタ歯胚組織(鐘状期後期)を下顎骨から取り出し、酵素処理にて歯胚組織を上皮組織部および歯乳頭組織部に分離し、分離した組織から酵素処理にて上皮細胞と歯乳頭細胞をそれぞれ単離した。 単離したそれぞれの細胞を、フローサイトメーターとHoechst33342を用いてSP細胞とMP細胞に分離することを試みた。コントロールとして造血幹細胞を用いた。造血幹細胞からのSP細胞の分離は、研究分担者の渡辺がその手法を確立している。はじめに、造血幹細胞のSP細胞群を得ることができた。これにより、操作技術に問題ないことを確認した。次に、ブタの歯胚組織から単離した歯胚細胞中のSP細胞の単離を試みたが、予想に反して、5回に1回の確立で10個位の歯髄SP細胞を認めた。今までに報告されている割合と比較するとかなり低く、移植に用いることは困難であると結論づけた。現在、発生の時期を変えて解析を開始している。 次にヒト歯髄組織細胞中のSP細胞の単離を試みた。ブタの歯胚細胞の結果と異なり、平均0.8%の割合で、歯髄組織中にSP細胞群が観察された。この割合は過去の他の組織における割合と遜色のない結果が得られた。そこで、SP細胞群のABCG2の発現量の解析を行った。予想通り歯髄SP細胞はRT-PCRによってABCG2の発現を確認することができ、MP細胞には発現していなかった。これにより、ヒト歯髄組織中にSP細胞が存在することを確認でき、単離することが可能であることが示された。つぎに、歯髄SP細胞と歯髄MP細胞における幹細胞マーカーと歯関連因子の比較を行った。RT-PCRによってNestin、 Notch1、α-SMAの発現を確認し、SP細胞はMP細胞と比較して強発現していることを確認した。また、細胞増殖能においてもSP細胞群はMP細胞群より高かった。
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