研究概要 |
負電荷酸素原子(以下O-ラジカルとする)は強力な酸化力を持ち、強い殺菌作用を有する。生体反応の検討の前にこのO-ラジカルの殺菌作用を検討することになり、O-ラジカルを高濃度に含む水(以下O-ラジカル水とする)を調製し、それを用いて齲蝕原性細菌、歯周病原菌および,Candida albicansに対する抗菌効果について検討した。 方法:O-ラジカル水は、オキシジャパン社製AOE-750から生成されたO-ラジカルを用いて調製した。Streptococcus sobrinus, Porphyromonasgingivalis, Prevotellaintermedia, Actinobacillus actinomycetemcomitans, Fusobacterium nucleatumおよびC.albicansを供試した。用いたO-ラジカル水は、pH2.0からpH3.0のもので、O-ラジカル濃度が高くなるほどpHは低くなっている。作用後、10倍希釈系列をつくり、それぞれを寒天培地に接種した。C.albicansは、室温で培養し、その他の口腔細菌は、37℃で嫌気培養した。培養後、コロニー数を算定し、抗菌活性を評価した。 成績:浮遊細菌に対する抗菌活性を検討した結果、pH2.5のO-ラジカル水は、口腔細菌に対しては、5〜10分間で抗菌効果を示したが、C.albicansに対しては6時間以上作用させないと抗菌効果を示さなかった。それよりも低いpHのものを用いると、さらに強い抗菌活性がみられ、pH2.0では、1分間の処理で顕著な抗菌効果を示した。またこれらの抗菌活性は、室温よりも37℃で作用させた方が強かった。 考察:ガス状態のものだけではなく、O-ラジカル水の状態でも、抗菌活性を示すことが確認できた。今回用いたO-ラジカル水は、高濃度の場合、pH2.0であり、この低pHが強い抗菌活性に関わっている可能性がある。そのため、できるだけpHを上げたものを調整する必要があろうが、生体に応用についてはpHの高いものでは適応が難しいと考えられる。
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