研究課題/領域番号 |
18659614
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山本 照子 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00127250)
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研究分担者 |
上岡 寛 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (80253219)
黒田 晋吾 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (40332796)
湊 雅直 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40200076)
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キーワード | 歯の移動 / アポトーシス / 歯芽細胞 / 破骨細胞 |
研究概要 |
本年度、我々はマウスを用いて矯正的歯の移動モデルを作成し、in situ hybridizationを用いて結合組織成長因子(以下CTGF)の遺伝子発現とTUNEL及びISOL染色を経時的に検索し、歯周組織に発現するCTGFが歯槽骨リモデリング時の細胞のアポトーシスに関与している可能性を検討した。その結果、機械的に刺激された骨リモデリング時に、CTGFは骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞に発現しており、CTGFが骨のリモデリングに関与していることが示唆された。CTGFを発現する骨細胞は、歯の移動開始から12時間後まで増加し、その後1日から21日まで経時的に減少した。すなわち、CTGFは歯の移動のメカニカルストレスが加わった初期において一過性に、歯槽骨圧迫側の骨細胞で多く発現することが明らかになった。また、歯槽骨圧迫側におけるTUNEL陽性骨細胞は、歯の移動開始から12時間後まで増加し、その後1日から21日まで経時的に減少した。この変化は骨細胞におけるCTGFの発現様相とほぼ一致していた。さらに、歯の移動12時間後では、歯槽骨圧迫側にISOL染色陽性を示す骨細胞が多く認められた。加えて、歯の移動3日後では、歯槽骨圧迫側に無細胞性骨小腔が増加し、その後7日から21日まで経時的に減少した。以上の結果から、歯槽骨圧迫側の骨細胞では、歯の移動を開始して2時間後に有意にCTGFが増加し、6時間後にアポトーシスが有意に増加した。さらに、歯の移動1日後に無細胞性骨小腔が有意に増加し、3日後に破骨細胞が有意に増加した。その後、10日後より歯が急激に移動し始めた。これらのことから、我々は、骨細胞で発現していたCTGFとアポトーシスが機械的刺激の骨リモデリングの反応として誘導され、骨リモデリングの重要な役割を担っていることを報告した。さらに、本研究で作成したマウスの矯正的歯の移動モデルは、矯正臨床で行われている歯の移動と同様に機械的刺激に対する歯槽骨のリモデリング過程を細胞ならびに分子レベルで観察できる有用な系であることを報告した。
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