これまで、研究者らは、新規に開発された人工ペプチドについてその性質について研究を行ってきた。このペプチドは、提供される状態としては液状であるが、塩に触れることで、ゲル状に硬化することが知られている。研究者らは、セルカルチャーインサートを用いてペプチドをFBS添加細胞培養液で硬化させることに成功し、この性質を確認した。このことから、細胞を培養する条件でペプチドをゲル状に扱うことができることがわかった。 さらに研究者らは、このゲルが細胞に対して親和的であるかどうかという事を確認する事を目的として、ゲル内に抜歯した歯根より採取した歯根膜組織を埋入し、培養を行った。結果として、埋入した歯根膜組織より細胞が増殖してゲル内で増える事を光顕的に確認した。このことから、ゲルを歯周組織欠損内に埋入した際にも、周囲の残存組織より欠損中のゲル内に細胞が増殖する可能性が示唆され、この人工ペプチドが歯周組織再生に関して良好な補填材料になる可能性があるということが示唆された。 現在までのところ、in vitroの研究より良好な結果が得られており、in vivoでのラットを使用した研究の観察期間中であり、脱灰、切片作製の後観察する予定である。これまでに、in vivoの研究では、イヌの頬粘膜、歯肉に対して、ペプチドを注入し、経過観察したところ、副作用等無く良好な治癒経過をたどる事を確認しており、ペプチドが生体組織に対して為害性が無いであろう事を確認している。
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