1)DNAチップによる歯根膜細胞分化過程のトランスクリプトーム解析 歯周組織再生過程をin vitroで再現するために、当教室で樹立した歯根膜細胞を長期培養した際の遺伝子発現をDNAチップを用いて解析を試みた。すなわち、歯根膜細胞からRNAを培養0日目、3日目、6日目、9日目、12日目、15日目、18日目に抽出し、それぞれのサンプルRNAから逆転写反応により、Cyamine dye(cy3およびcy5)にて標識されたプローブを調整し、DNAチップにハイブリダイゼーションした。そして、培養0日目のサンプルをリファレンスコントロールとして、それぞれの培養日サンプルとの間で遺伝子発現を比較した。 2)クラスター分析・GeneOntology解析による歯根膜全遺伝子パスウェイの解明 上記1)で得られた遺伝子発現データを統計学的処理することにより、遺伝子の発現パターンを指標とした遺伝子発現クラスター分析、および各遺伝子の生物学的機能を示すGeneOntology解析を行うことにより、歯周組織再生過程における全遺伝子トランスクリプトーム解析を行った。さらに、クラスター分析とGeneOntology解析の結果を統合することにより、統計学に基づいた歯周組織再生過程における代謝および細胞内シグナル分子の経路図(代謝・シグナルパスウェイ)を作成した。その結果、ヒト歯根膜細胞の全遺伝子プロファイリング解析の結果、ヒト歯根膜細胞の硬組織形成分化過程においてはヒト全遺伝子中3175個の遺伝子が有意な発現変化を示すことが明らかとなった。
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