研究概要 |
各種の励起波長に対する蛍光波長の違いを利用してレジン充填歯と天然歯とを識別し、集団健診でのレジン充填歯の見落としを防ぐのに役立てる事を目的とした。 スリーエム社,クラレメディカル社,トクヤマデンタル社,睦化学工業社,松風社,及びジーシー社の各光重合型コンポジットレジンをスライドガラス上で直径1cm,厚さ1mmの円盤状に成型し、日立分光蛍光光度計F2500を用いて蛍光測定を行ない、最大強度の蛍光を発生させる励起波長(Ex)とその時の蛍光波長(Em)を求めた。 その結果,各社製品において,最大の蛍光を発生する条件(Ex, Em)は,スリーエム社製(320,400),クラレメディカル社製(383,445),トクヤマデンタル社製(320,360),睦化学工業社製(320,360),松風社製(306,435),及びジーシー社製(313,350)となった。また,同時に抜去歯(下顎中切歯,上顎中切歯,上顎側切歯)を用いて同様の実験を行ったところ,励起波長367〜370,蛍光波長445nmで最大の蛍光を発生した。 以上のことから,クラレメディカル社製のコンポジットレジンを除く製品は天然歯と比較して蛍光波長が短く,Ex=367〜370nmの励起波長の発光ダイオードを使い、フィルターによって445nm以上の蛍光をカットすれば、レジン充填歯の識別は可能であると考えられる。またクラレメディカル社製コンポジットレジンと天然歯との識別には,別の波長の発光ダイオードを用いることで対処できるものと考えられる。
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