研究課題/領域番号 |
18659628
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
雫石 聰 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00028789)
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研究分担者 |
片岡 宏介 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (50283792)
小島 美樹 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (20263303)
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キーワード | 金属アレルギー / IV型アレルギー / 唾液タンパク質 / ニッケル / 動物モデル |
研究概要 |
近年増加傾向にある歯科金属アレルギーは、その発症のメカニズムにおいて不明な点が多い疾患である。我々は口腔内の金属が単体金属イオンとして溶出し唾液タンパク質と結合することにより金属-タンパク質複合体を形成し、消化管を介して摂取され発症するという仮説の下、動物モデルを作製、そして同モデルを用いた金属アレルギー発症のメカニズムを明らかにすることを目的とした。 まずヒト唾液サンプルをNi-NTAアガロースカラムを用い、ニッケル(Ni)イオンと特異的に結合する唾液中の唾液タンパク質を精製した。ウエスタンブロット法によりカラム精製された唾液タンパク質にはヒスタチン、プロリンリッチプロテインが含まれていることを明らかにした。ヒト全唾液からの精製ヒスタチンおよびプロリンリッチプロテインをそれぞれanalyteに、Niセンサーチップへの結合強度をBiaCore systemにより検討したところ、プロリンリッチプロテインよりヒスタチンの結合度が強いことが示された。 Ni感作マウス作製にあたっては、背部剃毛マウスに10mM NiSO4含有ワックスを隔日4回塗布し最終感作24時間後、同マウスに2mM NiSO4/リン酸バッファー溶液を右耳介に、また、左耳介にリン酸バッファー20μ1を皮下注射し、18時間後の耳介の厚さを測定することにより遅延型過敏反応の惹起を確認した。さらに、Ni感作マウスにNi-ヒト唾液タンパク質複合体(NiSC)2.5mgを経口投与し、(コントロール群には、リン酸バッファー経口投与)18時間後の小腸を摘出しコントロール群と比較検討したところ、NiSC投与群では組織充血および組織脆弱性が認められ、小腸HE染色組織標本では、NiSC投与群において細胞浸潤がみられた。次に小腸腸管粘膜固有層からのCD4T細胞からのRNA抽出を用い、RT-PCR法によりTh1/Th2型サイトカイン発現を検討したところ、IFN-γの有意な発現増加が見られた。以上より、本マウスモデルの腸管において遅延型過敏反応が認められ、金属アレルギー発症を示唆するものである。
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