研究概要 |
平成19年4月からと平成20年3月31日まで,化学物質過敏症看護外来(看護相談室)を,研究室内の環境を用いて行った。電話やメールにより,相談者と相談め上,面談日を決めて対応した。対応時間は平均2時間/人であった。また,メールや電話での相談にも応じており,相談室を設置してからの利用人数は65名に達した。 相談内容の分類としては,「症状の悪化予防と生活改善の方法についての問い合わせ」や「受診行動や受診施設に関する相談」,「精神的サポートを求める相談」,「その他」である。看護師のアドバイスにより,未受診であった人が専門病院で確定診断を受けたケースが現在までに8例あり,また,症状改善が見られた患者も多く存在している。これらの結果を,7月に行われた日本臨床環境医学会総会において,「化学物質過敏症外来の設置効果に関する検証第1報-症状とQOLの改善がみちれた事例を通して-」として報告した。また,12月の日本室内環境学会において,「化学物質過敏症患者の生活状態-看護相談室に寄せられた愁訴の調査-」として報告した。さらに,化学物質過敏症患者の住める安全な住宅を造る目的で,実際のマンジヨシ(研究者が有する化学物質濃度の高い分譲マンション)の実験的改築を自費で行い,「問題住宅のホルムアルデヒド放散源の特定と抜本的対策の効果の検証」を日本室内環境学会において報告した。また,当看護相談室において使用している看護カルテをデータベース化させ,化学物質過敏症患者を支援する医療従事者が共有できる情報システムの基盤を構築中である。
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