本研究の目的は、心拍データから睡眠深度を推定するための基準を作成することである。 18年度は、終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)のデータから得られた睡眠深度と心拍変動データの周波数解析結果との関係性を検討し、周波数解析から得られる情報をもとに深度を推定する基準め作成を試みた。 PSGはSleepSign(キッセイコムテック)による自動判定と視察により評価し、覚醒・体勤・REM睡眠・浅睡眠(ステージ1・2)・深睡眠(ステージ3・4)の5つの段階に区分した。心電図のRR間隔はアクティブトレーサー301(GMS)を被験者の体幹に専用のベルトにより固定して測定し、加速度データも合わせて得た。R-R間隔は時系列周波数解析ソフトMemCalc(諏訪トラスト)を用いて処理した。 PSGと心拍変動データの解析結果との関係性の検討からは、交感神経活動を反映すると言われている高周波成分(HF)と低周波成分(LF)の比よりも、副交感神経活動を示すと考えられているHF(nu)のほうが、5つの段階で平均値に差が出やすいケースが多かったことから、判定基準としてHF(nu)の値と加速度データを用いることとした。 周波数解析データと加速度データはExcel(マイクロソフト)に入力し、作成した基準をIF関数機能に入れ、5つの段階に区分した。この段階による推定では、一致率が40〜70%とケースによってバラツキが、大きく、推定基準としては不十分であることがわかった。特に体動が多い者や浅い睡眠が多い場合には一致する割合が低かった。また、1分エポックで描いた経過図のなかで極端に変動が激しい箇所を前後の段階を考慮して修正を加えることによって、PSGとの一致率は60〜80%に上昇することが明らかとなった。
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