本研究は、診療時間外となる夜間・休日の在宅糖尿病患者の看護ニーズを明らかにし、糖尿病療養指導士を中心とした電話等による相談対応システム構築の検討を目的とする。 平成18年度に実施した病棟管理日誌の電話対応記録からの遡及的調査および研究協力者が所属する糖尿病専門病院の外来患者に施行した質問紙調査の結果から、自己管理による治療行為の回数や頻度が多いほど、患者は予期せぬトラブルが発生したり、投与判断に苦慮したりしており、対処として医療機関にすぐ相談する患者がその2割程度であることが推測できた。これを踏まえ、平成19年度は、1)全国の日本糖尿病学会認定教育施設および糖尿病専門外来のある施設の看護管理者を対象に、夜間・休日の糖尿病外来患者からの電話等による相談対応の現状況および看護管理者が考える対応の支障とその展望について、昨年11月、郵送での質問紙調査を実施、次に、2)研究協力者が所属する糖尿病専門病院の病棟看護師に調査協力を募り、日本糖尿病療養指導士の認定をもつ看護師6名および認定をもたない看護師5名に、患者が電話相談せざるを得ない状況になる理由の推察と、必要人員、業務体制、看護判断、業務連携、症例研究、コストと病院報酬等を含め、電話等への相談対応を業務としてシステム化するために可能な仕組みは何かをテーマとして、3月下旬に2回のグループ・インタービューを実施した。1)の結果から、回答のあった施設の約半数が夜間・休日の電話相談を受けているがその恒常頻度は低いこと、高齢化や糖尿病の増加から相談ニーズは高まると看護管理者は予測しているが、夜間・休日の対応に看護師の説明・指導を積極的に拡充する展望が強いとは言い難いことが分かった。2)は、現在、逐語録を作成中であり分析結果により、電話等による相談対応システムの構築に対し、モデル的示唆を得ることが可能と考える。
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