研究概要 |
1.本研究の目的 潜在エラーの予見的分析法(FMEA)を活用して,病院における看護師の注射事故を防止するための新システムを設計し,その実用性を評価することで、目標は次の3点である。(1)注射実施過程における問題点を予見的に把握するために,研究施設における注射実施過程に潜在する失敗モードを分析する。(2)注射事故防止に先駆的に取り組んでいる国内施設におけるシステムの現状と課題を把握する。(3)研究施設における注射実施過程に潜在する失敗モードの分析,及び先駆的施設におけるシステムの現状と課題をもとに,注射事故を防止するための新システムを設計し,看護師の注射実施行動の変化から実用性を評価する。 2.調査 昨年度の文献調査、ヒヤリ、ハット事例の分析、注射技術の映像分析を継続すると共に、看護師の注射実施に関する文献から注射実施工程を分析し,次のとおり調査の基盤を作成した。(1)文献調査によりFMEAの分析方法を検討した。(2)厚生労働省医療事故情報収集等事業および日本医療機能評価機構医療事故情報収集等事業ヒヤリ、ハット事例を分析し、エラーが起こりやすい注射実施工程を抽出した。(3)市販の注射技術のビデオ映像を分析し、実施工程を抽出し、各工程で必要とされる知識と技術を抽出した。(4)看護師の注射実施に関する和洋文献から,注射実施工程を抽出して日米比較し,我が国特有の注射実施工程と潜在するエラーを分析した。(5)医療の質、安全学会(11月23〜24日)および日本看護科学学会(12月7〜8日)に参加し情報収集を行った。来年度は、これらの結果に基づいて、研究対象施設の注射実施状況の調査と新システムの設計、評価を行う。
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