研究課題/領域番号 |
18659653
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
兒玉 英也 秋田大学, 医学部, 教授 (30195747)
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研究分担者 |
渡邉 竹美 秋田大学, 医学部, 講師 (90279919)
糠塚 亜紀子 秋田大学, 医学部, 助手 (90361237)
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キーワード | 妊婦 / 口腔衛生 / 酸化ストレス産物 / 虫歯 / 歯周病 / 8-OHdG / 生活習慣 / 口腔乾燥症 |
研究概要 |
生体内の酸化ストレスをマーカーとした妊婦の口腔ケアへのより実効的な看護介入メソッドを確立することを目的とし、唾液中8-ヒドロキシデオグアノシン(8-OHdG)と血中ハイドロペルオキサイドの酸化ストレス産物の測定、および虫歯や歯周病に関連する症状や生活因子に関わるアンケート調査を、妊婦検診で外来を受信した妊娠27-31週の妊婦195名を対象として行った。 調査の結果、妊婦の22%が「虫歯がある」と回答し、その70%は今回の妊娠に新しく発生したまたは妊娠中に悪化した虫歯であった。また、50%に達する妊婦に、口臭、口腔の乾燥感、易出血、歯茎の脹れや歯のぐらぐら感といった歯周病に関連する何らかの症状が認められた。そこで虫歯と歯周病に関連する症状をそれぞれ重症度に応じてスコアリングしたところ、それらは妊婦の体重と相関が認められた(p<0.01)。妊婦の唾液中8-OHdG濃度は32.9±26.8ng/ml、血中ハイドロペルオキサイド濃度は604±163CARRUで、従来の非妊時の測定データと比較すると高値であった。これら酸化ストレス物質と虫歯関連症状スコアおよび歯周病関連症状スコアとの間には、有意な相関は認められなかった。しかし、唾液中8-OHdG濃度が高値の妊婦には、「口の中が乾燥していると感じる」との回答が多く認められた(P<0.05)。また、血中ハイドロペルオキサイド濃度は、妊婦の体重、血圧に相関が認められた(p<0.05)。 妊娠中期の妊婦では、基礎代謝の増加で生体の酸素消費量が増加しており、それに伴い活性酸素の産生量も増加して酸化ストレスが顕性化しやすい環境にあると推定された。唾液中8-OHdGは、妊娠に伴う口腔乾燥症のパラメーターとして、また血中ハイドロペルオキサイドは体重増加や血圧といった妊娠高血圧関連症状のパラメーターとしての可能性が示唆された。しかし、これら酸化ストレス産物が歯周病などの口腔衛生の指標として有用であるかについては、明らかでなかった。
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