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2006 年度 実績報告書

生殖補助医療によって子どもが得られなかった夫婦のライフヒストリー研究

研究課題

研究課題/領域番号 18659661
研究機関広島大学

研究代表者

中込 さと子  広島大学, 大学院保健学研究科, 助教授 (10254484)

研究分担者 横尾 京子  広島大学, 大学院保健学研究科, 教授 (80230639)
村上 真理  広島大学, 大学院保健学研究科, 助手 (10363053)
藤本 紗央里  広島大学, 大学院保健学研究科, 助手 (90372698)
キーワード不妊 / 不育 / 生殖補助医療 / ライフヒストリー / 看護
研究概要

本年は、ARTを選択し最終的に子どもを得ることができなかった2名の女性のライフヒストリーから、各々にとってのARTの意味、さらに現代社会におけるARTの意味を分析した。
方法:情報提供者は、ARTを経験後、生児を得ることなく不妊治療を終え、今後ARTを含めた不妊治療を再開する予定のない女性とした。情報収集は、平成18年9月7日から同年12月18日までとし、半構成的面接によって行った。面接場所・日時は、対象が希望した自宅で行った。面接内容は、不妊であることや不妊治療に関連して経験した印象的な出来事と、その出来事における他者や社会との関係、および自分の行動や考えたこととした。語りの内容は、許可を得てICレコーダーに録音し逐語録にした。
分析は、語られた内容について不妊治療に関連した部分を抽出し、その個人のストーリーとして再構成し、各ストーリーから、各々にとってのARTの意味、現代社会におけるARTの意味を分析した。本研究は広島大学大学院保健学研究科倫理委員会の承認を得て行った。
結果:A氏は、子どものいない人生は「ありえないこと」と考えていたが、子どもが得られないままARTを終えたとき、ARTを受けたということが宗教観と結びつけられた結果、「宿命」と、自分に認めさせることができるものに変わっていた。A氏にとってのARTの意味は【不妊であることを宿命として容認させる一助】と解釈できた。B氏は、子どもが欲しいと希望するあまり、夫がEDやうつ病になっても、夫を省みることなく治療を進め、ARTを選択し、夫婦関係を悪くしてしまっていた。B氏にとってのARTの意味は【夫婦に病んだ関係をもたらすもの】と解釈できた。2名のライフヒストリーから現代社会におけるARTの意味は、「心身を病むということには科学のみならず、Spiritual careが不可欠であること」、「人間関係の根源である他者の体験に関心を持ち、他者を尊重するということを見失わせること」を知らしめるものであると考えられた。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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