1.研究の目的:研究課題は(1)医療の場で看護師が用いている高次脳機能障害患者への症状アプローチの方法とその開拓過程を明らかする、(2)その中から家族が活用できる症状アプローチの方法を選定し、教育介入プログラムを策定し、効果を明らかにすることである。 II.研究方法:研究デザインは、質的帰納的に症状アプローチの方法を明らかにした後、事例に適用し変化を評価する方法をとった。 対象は、目的(1)では脳卒中によって注意障害を主症状に含む高次脳機能障害を生じた患者をケアする急性期および回復期リハビリテーション病棟で働く看護師であり、参加観察と面接法により、対象がケア場面で用いているケア技術を記述した。分析は、面接で得られたデータを文章に起こし意識せずに行っているケアを含めて技術を抽出し言語化した。目的(2)では、抽出した技術を事例に適用し、患者の家族が患者の症状によって「以前と異なる日常生活変化」「生活上のリスク予測」について看護師と一致するかどうかを評価した。また同時に教育介入の開始時点と退院時においての予測指標の数等を評価した。 III.結果:看護師による症状アプローチの方法は、「違和感」によって察知され、「コミュニケーション方法」の形を変えて、患者にケアする構造が明らかになった。介入方法に設定し2事例の介入を経た現段階においては、「生活上のリスク予測」について看護師よりも多い傾向にある事例と少ない事例とがあり、今後こうした事例によって異なる傾向の要因を探りながら事例数を増やして検討し、明確な介入評価を行う必要があることが課題となった。
|