研究概要 |
もともとの計画では(1)10〜18才の子どもと(2)その両親,(3)主治医か看護師,(4)担任,(5)養護学校の担任という5人を1組としたインタビューを企画したが,これら5人を1組として情報収集することは予想以上に困難であった. 結果的に,(1)10〜18才の子どもと(2)その両親,(3)主治医か看護師,(5)養護学校の担任のデータが1組,(1)10〜18才の子どもと(2)その両親のデータが2組,(1)子どもと(3)主治医か看護師と(5)養護学校の担任のデータが3組収集できた.これらの結果を検討する中で,これまでの報告があまりにも少なく,各学校の実態もかなり異なっている院内教育に関するデータをもっと収集し実態を把握し,検討することが重要だと判断し,後半は養護学校の担任へのインタビューに集中して,子どもたちの入院中での教育の実態と課題を把握しようとした.現在,18データを収集したが,次年度もこのインタビューを続けて報告したいと考えている. じつは,転勤制度があるために病弱教育に関して十分な経験を積んだ先生が少なく,対象として適切な先生を探すこと自体が困難であったが,その分,普通教育の経験のある人も多く,普通教育との違いについても聞き取ることができた. 入院中の教育に当たる教師が,その仕事のやりがい,専門性,難しさをどうとらえているのか,他職種との連携をどう取っているのか,担当した子どもの地元の学校との連携をどう取っているのかは,子どもたちの再就学の成否に大きく関わっていた 再就学がうまくいった子どもたちの中には,闘病経験がプラスだったと語る子どももいた.小児がんが発症したこと自体は,健康で普通の生活を送ることに比べればマイナスかもしれないが,闘病中の教育,地元校への再就学の状況を整えることによって,闘病体験をプラスにすることも可能だと思われた.
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