本研究は、後遺症として認知機能に障害をきたす割合が高い脳血管障害者を対象に、リハビリテーション病院のベットサイドの生活空間において、患者の動作と脳血流の変化を測定することにより、認知機能のアセスメントと評価、そして具体的な看護方法を開発することを目的とする。 (平成18年度計画) 1.目的 ベッドサイドの環境において、脳刺激として有効な動作を抽出する 2.方法 単位動作と脳血流量の変化を測定する (研究成果) 1)在宅高齢者17名を対象として、腹式呼吸法を取り入れた歌唱による発声動作を抽出した。 2)測定機器は、SHIMAZU NIR Station(近赤外光イメージング装置)を用いて、課題遂行時の酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの変化を直接測定した。 (1)課題遂行の単位動作を発声動作とした理由は、脳血管障害者に多く認められる嚥下障害に対し腹式呼吸の訓練により機能改善をめざす看護ケア方法の根拠を明らかにするためである。 (2)臨床実験の前に、健常者で課題遂行を実施し、被験者の負荷や安全について検討した。課題は立位と座位の発声、開眼と閉眼の発声を実施する計画であったが、立位・閉眼による課題遂行は健常者においてもバランスを崩しやすく転倒の危険が予測されたため、最終的な課題は「立位・開眼による腹式呼吸による歌唱1曲」とした。 (3)実験によるデータ採取と分析結果として、課題遂行時の脳血流変化は、前頭前野、運動野を中心に顕著な脳血流の変化が認められた。嚥下機能障害を呈する障害者への看護方法として実施されている訓練は、看護介入として、有効な刺激であることを確認した。
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