今年度は、高齢者の睡眠覚醒障害と生活リズムのの実態について、在宅の活動的な高齢者を対象として、聞き取り調査と生活リズムの測定(ライフコーダ、アクティウォッチの装着)によるデータを分析した。対象は、65歳以上高齢者であり、沖縄県大宜味村(22名)、つくば市(37名)、釧路町(30名)であった。聞き取り調査は、昨年度の内容を修正し、睡眠に関わる時間や環境条件などについて解答しやすいように単純化した。また、概日リズムの同調因子である社会的関係について、人間関係と交流(会話)時間などの項目を加えた。さらにGDSについて聴取した。生活リズムの測定については、ライフコーダを使用し、アクティウォッチでは測定できない活動量の算定を行った。これらの研究内容については、筑波大学研究倫理審査委員会の承認を得て開始し、高齢者および関係機関の管理者の同意を得て実施した。結果として、地域と性による相違が見出された。特に大宜味村とつくば市内(田園地区)の高齢者では、昼寝習慣のあるものが多く、夜間の睡眠効率が高かかった。しかし、つくば市内でも都市化されたエリアと釧路町では、昼寝習慣がほとんどなく、夜間の就眠状態にばらつきが多くみられた。これらは、うたた寝を併用する場合も多く、午後の活動性と共に夜間の睡眠の質を低下させていた。また、性差がみられたのは、つくば市内と釧路町であったが、女性に睡眠障害を自覚し、実測でも睡眠効率が低かった。暮らし方別には、独居の高齢者でGDSが高く社会的な交流(会話時間)の乏しさと睡眠障害が相関した。ナラティブ・ケアの有効性を検証する意義を見出すことができた。
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