研究課題/領域番号 |
18659684
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
東 清巳 熊本大学, 医学部, 准教授 (90295113)
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研究分担者 |
永田 千鶴 熊本大学, 医学部, 准教授 (90404326)
木子 莉瑛 熊本大学, 医学部, 講師 (40253710)
鈴木 志津枝 高知女子大学, 看護学部, 教授 (00149709)
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キーワード | 高齢者 / 終末期がん / 家族 / 在宅ケア / ネットワークの強化 / 在宅リエゾン看護 |
研究概要 |
高齢終末期がん患者の在宅ケアへの移行支援の経験を持つ3ケ所の急性期病院に勤務する看護師5名を対象に、在宅移行が上手くいった経験、上手くいかなかった経験を、また在宅ケアの経験を持つ7名の訪問看護師(ホームヘルパー1名を含む)を対象に、在宅ケアの継続が上手くいった経験、上手くいかなかった経験を語ってもらった。研究方法には現象学的方法論を用い、Goolgi.Aの分析方法を参照して、それぞれの経験の共通性と構造を明らかにした。 その結果、以下のことが明らかになった。 1.看護師の経験には、【在宅移行の可能性を見極める】【患者・家族の覚悟を支える】【介護負担を軽減する】【安心を保証する】【在宅移行に向け協働できる仲問を増やす】があり、その基盤には、高齢終末期がん患者と家族の療養場所として自宅が最良であるという【看護師自身の感性への信頼】があった。また在宅移行を上手く進めていくには、患者・家族に自宅療養を具体的にイメージさせる必要があり、そこでは在宅ケア支援チームを入院中から組織化し、その中に協働の重要な対象である医師や訪問看護師をどう巻き込んでいくかが鍵になっていた。 2.訪問看護師の経験には、【家族の覚悟を支える】【家族の関係性を支える】【介護負担を軽減する】【ネットワークを強化する】があり、終末期がん患者の在宅療養継続には【在宅療養の全容を見極める】ことが重要であり、そのために訪間看護師は《柔軟に対応》し《代替案を提供》しながら、療養継続が可能かどうか《在宅療養の限界を見極め》、時には医療機関での療養に切り替える支援も提供していた。さらに多くの訪問看護師は、在宅緩和ケア医の不足や在宅移行時の不適切な主治医の選択により、患者の苦痛がコントロールされず、家族の安心が保証されないことに苦慮しており、主治医にケア内容の検討を促したり、主治医の変更を家族に示唆するという経験をしているものいた。 3.緩和ケア医の確保を初め、終末期がん患者と家族の在宅ケアをスムーズに進めるには、訪問看護師の役割拡大が期待され、その一つとして訪問看護師の急性期病院に対する在宅リエゾン看護の可能性が示唆された。
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