| 研究概要 |
自動車運行上で重要となる渋滞や事故情報など位置に依存した情報(位置依存情報)を,車両の移動によってネットワークの分断が起きる条件下であっても,車々間通信によって効率的かつ確実に配信可能とすることを目的として,位置依存情報問い合わせ手法,位置依存情報の複製管理手法を開発した.(1)これまでの我々の方式では,位置依存情報の問い合わせにフラッディングベースのGeocastを用いていたが,フラッディングベースの手法では冗長なパケットが多く発生し,ネットワークの利用効率を低下させていた.新しい方式では,過去に問い合わせと応答の配信に成功したノードに優先してパケットを転送させることにより,効率的な問い合わせ送信を可能とした.さらに,(2)フラッディングベースではなくユニキャストベースの問い合わせ・応答送信方法の基礎設計を行った.この方式では基本的にはGPSRを基本とした位置ベースのユニキャストルーティングで問い合わせを送信するが,ネットワークの接続性がない場合でも車両自体の動きを用いて問い合わせとその応答を転送する.また,応答の送信の場合も,車両の移動による経路切断による通信失敗を防ぐため,位置ベースのルーティングを行う.これを実現するために,要求元の車両の位置を予測し,予測位置近傍までのユニキャストと予測位置範囲でのフラッディングを併用する設計とした.(3)車両間の通信成功が達成しやすい交差点付近で複製配信を行うように,車両が交差点に達するまで複製の配布を延期し,交差点近辺で一度に複製配布をすることで,効率的な配信を可能とする手法を開発しその有効性を確認した.さらに,複製配布に伴うトラフィックを削減するため,配信された複製の再配信を行う端末を,車両の位置,移動方向に応じて限定するように,複製配信元の端末が隣接端末の情報を元に事前に決定する手法を設計した.
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