研究概要 |
渋滞や事故情報など位置に依存した情報(位置依存情報)を, 車両の移動によって車々間ネットワークの分断が起きる条件下であっても, セキュアで効率的かつ確実に共有する手法の開発を行った. 【1】昨年度は車両の位置・速度・移動経路, 車々間アドホックネットワークのトポロジに応じて位置依存情報の複製を配置する手法RD方式についてシミュレーション評価を行ったが, これを実環境で運用するためには, 車両密度が低い状況においても問い合わせに対する応答メッセージを問い合わせ元車両に確実に配送する手法を必要とした. 今年度は, 問い合わせ元の車両への応答メッセージの宛先位置を, その車両と遭遇したことのあるパケット中継車両が絶えず更新することで応答メッセージの配送成功率を向上させる経路制御プロトコルを開発した. シミュレーションによって, 車両密度が低く同手法を用いない場合には応答パケットの転送成功率が15%程度の場合に, 同手法により成功率を30%程度に向上できることを確かめた. さらにパケットの転送成功率を向上させるため, 最大2つの経路を同時使用する手法を開発した. 【2】車両密度が低い条件では, 車両が孤立した状態で位置依存情報を生成する場合があり, その情報に対する位置に関しては, 他の車両が信頼できない状況が生まれる. この情報の信憑性を判断するための手法を開発した. 同手法により, 車両が自らの位置とは遠い位置に関する位置情報を偽造することを困難にできることをシミュレーションにより明らかにした. 【3】IEEE802.11とGPSを搭載した複数台の車両を一般道で送稿させた車々間通信実験を実施し, 提案プロトコルの実装実験準備を進めたが, ノード間の接続性の確保, 位置情報獲得の実装上の問題があり, 提案プロトコルの実走行環境での実証までには至らなかった.
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