既存の大規模な情報ネットワークからの情報抽出の際に、様々な研究者がとった手順を記録し、その思考プロセスのモデル化を試みた。この思考プロセスを第三者に提示するインタフェースを実装するための基礎的な知見を得るため、まずは既存のインタフェースを利用した際の情報取得手順について映像で記録し、利用者の意図を推定する実験を行った。 被験者の推定内容は、情報検索者に協力した研究者により再評価がなされ、各操作の意図の把握度合いを5段階で評価することとした。この結果から、通常のWebブラウザを用いた既存のインタフェースであっても、閲覧滞留時間・マウスカーソルの移動・検索手順などから、情報取得の目的及び情報検索者の専門分野の推定は70%前後で可能であることが判明した。その一方で、情報検索者のバックグラウンドとして重要であると考えられる、研究者の年齢・所持していると思われる関連知識等についての推定結果には、大きな間違いも多く見受けられ、各個人を特定するようなレベルでの意図をの把握は非常に困難であることが明らかとなった。 このため、研究に長く携わっている研究者の人的資源をより活用するために、その知識体系を明示的に提供することで意図の把握を補助することを試み、情報提示時に併せて表示するインタフェースの開発を現在行っている。 また、上記実験をより広範囲に行うためWebを用いた実験システムのプロトタイプを構築した。これにより母集団の増加・実験対象となる研究者の母集団の拡大・得られた知見が反映されたインタフェースの実現を目指している。
|