これまで主に対としてきた言語情報に加え、近年取得が容易になってきたために増加しつつあるマルチメディア情報の取扱いにおいても、利用者に対する負荷を抑えつつ情報抽出時の支援を可能とする可視化提示手法の検討・統合を行い、より汎用的なシステムとすることを試みた。 情報抽出を試みる際に、適切なラベルが個別の情報に付いていることは少なく、またそのラベルの付与作業も非常に困難な場合が多い。このため、1.「情報抽出を期待する利用者による抽出活動以外の時間帯による行動履歴情報」、および2.「他の利用者による動画視聴時における行動履歴との比較」を用いる手法の検討を行った。 1. については、携帯電話を用いた情報提供サービスにより取得された利用者による記事の選択結果および閲覧履歴の関連性についての分析を行い、それらを構造化したネットワークを作成した。同ネットワークと提示予定情報とのマッチングを行うことで「文脈性」を含んだ情報抽出を行うシステムを実装・評価した。また2.では、Web上の動画提供ポータルサイトで視聴された半年間に渡る動画視聴時の全行動履歴を分析することで、既存の分類タグとは異なる視聴者の行動特性(再生・スキップ・巻き戻し・視聴中止など)に基づいた動画分類指標を提案し、動画の分類および視聴を可能とするインタフェースを開発した。また、これらの特性指標評価を行うと同時に、特性指標を利用し各視聴者の特性を表現・利用し、他者の動画視聴特性に基づいた動画の抽出を容易に行える機能を実装、実証実験による有効性評価を行った。 1.の実証実験結果では、多くの利用者から何故その情報を抽出したのかといった推薦意図が読み取れるとの感想を得ることができ、また2.の実証実験結果では、ほぼ全数の利用者から是非今後も利用したいといった評価を得ることが出来た。ただし2.で実装された動画情報提示システムについては、その動画が選別された意図の把握が出来た比率は半数にとどまった。 情報抽出時に膨大な情報ネットワークから人力のみで情報抽出を行うことはもはや不可能であり、利用者に提示する前段階での機械的な処理は必要不可欠である。しかし自動化をするために単純な規則に限定された処理を行う場合が多く、利用者の意図を汲んだ高度な抽出作業を行うサービスは困難である。これらの問題点に対し、利用者本人の興味・意図といったものを日常生活から利用者に負担をかけることなく取得し目的情報の抽出時に再利用することによる解決は、増え続ける情報の処理全般に適用されるべき手法であり、情報機器端末が普及した現代社会において広く求められるものになると期待される。また、動画情報は
|