研究概要 |
(1)非線形力学系のアトラクタとして表現されたロボットのコミュニケーション これまで提案してきた,非線形力学系のアトラクタ設計法に対し,FFTによるデータのフィルタリング,場の関数近似における重み関数,座標変換を用いた改良法を提案し,運動途中に身体の力学特性が大きく変化するタップダンスにおいて運動の創発を行った.また,これに基づいてロボットの同調運動を引き込みによって表現し,コミュニケーション原理をロボットに実装した. (2)アトラクタ設計によるロボットの運動創発のための記号設計とその実体化 コントローラを記号に分解し,その結合によって新たなコントローラを設計することを目的とし,複数のロボットに対するコントローラから運動に共通な要素を抽出することで運動記号の設計を行った.また,これは数値の羅列でありその意味が不明確であることから,これを運動のための擬似目標値として物理的に意味のある実体化表現を求めた.さらに,これをタップダンスロボットに実装し,運動途中における擬似目標値を可視化した. (3)剛体リンクによる零剛性とこれを利用した非線形弾性機構の設計 ロボットの力学特性を生かした運動を生成するためには,ロボットの力学特性を現れやすい機構が必要である.そこで,ロボットの関節に対する硬さと柔らかさの両立を目指して,剛体によって零の剛性係数を持つ機構を開発した.ここでは機構の構造的特異性を利用しており,ある瞬間において拘束条件のヤコビ行列が補空間を持つことを利用している.さらに,これを用いて大きな非線形ばね特性(零の剛性から極高剛性)を持つ機構の開発を行い,四脚ロボットの膝関節に実装した.
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