研究概要 |
本年度はモーションキャプチャシステムを通して取得した身体動作データと主観評価の関連の分析を進めた.主に2つのアプローチから研究を進めた.1つ目は構成的なアプローチとして高い主観的評価を得るロボットを作り出すことで主観評価に関わる要素の同定を試みた.具体的には,発達心理学分野において幼児がどのような振る舞いから生き物らしさを見いだすか,という生物的な動きの特徴に注目し,モーションキャプチャシステムのリアルタイム出力結果を利用して生物的に振る舞うロボットを構築した.さらに,ロボットと関わる人が対話相手をロボットであると知っているかどうかによって対話が変わるのかどうかに注目した評価実験を行い,被験者の大半は対話相手が自律的なロボットであるか人間であるかを気にせずに対話を続けることを見いだした,2つ目は,トップダウンの分析的なアプローチとして,既にこれまでの研究から協調的動作の重要性が見いだされてきたため,ロボットと人間との協調的な身体的動作に着目し,まずロボットが行った振る舞いを人が無意識にまねる度合いを主観評価と比較する実験を行った.心理学分野では,人間同士が対話の際に好意的な印象を持っている場合には,無意識の同調動作が生じることが広く見いだされている.たとえば,会話中に一方の人が頭をかくと,もう一方の人もつられて手を頭にやる,といった現象である.そこで,このような動きが主観評価の指標になる可能性を確認するために,ロボットを使った実験を行った.特に,ロボットの外見が印象や振る舞いに影響するのかどうかを比較するため,アンドロイドロボットも実験に用い,人間型ロボットRobovieとアンドロイドの双方において対話している人間に協調的な振る舞いが生じるかどうかを観測する実験を行った.現在,こちらの実験結果は分析中である.
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