骨膜中の骨芽細胞や緻密骨のハバース管周囲の骨細胞など骨組織には三次元的に高度に制御された細胞のパターニングや配置が確認できる。本年はこういった細胞、産生有機質、および沈着無機質の三次元パターニングを再現することを試みた。三次元ゲル培養基材としてフィブリンゲルを使用し、このゲルを一軸方向に伸展したところ、線維束の配向、細胞、有機質の三次元配向に沿って、沈着無機質が局所的に存在することを確認した。さらに、この微小X線回折の結果、この沈着無機質はハイドロキシアパタイトであり、その結晶配向が伸展方向と一致することが明らかとなった。 また、配向基質、細胞複合体を免疫不全マウスに埋入することで、これら基質の局在と配向が骨生成におよぼす影響について検討した。その結果、これら基質の局在化は、生体内での新規石灰化における核形成の場となり、もともとの局在部位から当方的に石灰化沈着が進むことが明らかとなった。以上のことから、伸展を加えることで基質沈着の局所化、配向させた機能性材料は骨再生の新しいアプローチとして有効であることが示された。
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