研究概要 |
本研究は, 拡張現実感による医師への体内画像情報の付与および, カテーテル誘導治療を支援ずる医師の手技の精度・安全性向上のためのロボティクスの開発研究を行う. 具体的には, MRI内で使用可能な非磁性ディスプレイの開発・臨床向け改良およびフィージビリティの評価を行い, MRI画像情報からリアルタイムに位置をトラッキングし, 三次元空間に高精度画像を提示する画像重畳システムの開発を行う. また, 画像情報に基づく術具トラッキングによるターゲット追尾型ロボットおよびそのインタフェースの研究を行う. 本年度はMRI対応画像重畳システムおよび穿刺ロボットシステムの評価を行い, さらに完全非磁性ロボットの開発を行った. 前者については, 被験者を対象としだシステム評価実験, 0.5Hzの画像の品質の評価および装置の設置位置・操作性の評価を行った. 腹部臓器の精巧なファントムモデルによる穿刺を行い, システム全体の穿刺精度を評価した結果, 誤差3mmという結果を得た. 使用時の画像解像度が1.5mm/pixe1であることから十分な精度であるといえるが, 今後は穿刺針のアーチファクトの低減および時間遅れによる操作性の改良が必要であった. 穿刺補助ロボットに関しては, 位置計測装置及びフルオロスコピーの画像を逐次高速画像処理を並行して行うことで対象を追尾し穿刺方向を制御するシステムの開発を行い, 高精度にターゲットに到達することを可能とした. これは, 全てが非磁性非金属の材料からなる2個の空圧アクチュエータによる2自由度ロボットであり, 安全性を高めるためアーム部取り外し機能も実装した. MRIへの影響を示すS/N比測定では, ノイズは全く観察されなかった. ロボットの位置決め精度評価として針先端の位置決めを測定した結果, 平均0.68mmという十分臨床使用可能な結果を得た. 以上の成果はMR対応性に対する設計論も含んでおり, 本研究の成果により, MRI内での安全な治療環境の構築が実現可能となると考えられる.
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